CONCORSO NAZIONALE PIANISTICO
“MASCIA MASIN”

このコンクールは2000年10月25日〜27日の3日間で1次・2次・本選、計3回の審査をするという
すさまじいスケジュールで行なわれました。


◆到着するまで   ◆コンクール前日   ◆第1次予選   ◆第2次予選   ◆ファイナル   ◆思ったこと




◆到着するまで

今回は、私にとって初めてのイタリア旅行でした。
コンクールは「サン・ジェミニ SAN GEMINI」という、イタリアに住んでる友達も知らないような小さな街で行なわれました。
ということで、もちろんガイドブックにも街の名前はひとかけらも載っていません。
ガイドブックの中のかなり細かい地図で探しても、やっぱりまったく載っていません。
ここでインターネットが活躍しました。
コンクールの要項に、だいたいの地図が載っていたので、「ローマの北に位置する」ということだけはわかっていたのですが、
いったいローマからどうやって行ったらいいのかという具体的な情報は、
何度コンクールに問い合わせてもまったく返事が返ってきませんでした・・・。
そこで、イタリア旅行についてのHPを探し当て、そこの掲示板で質問してみたところ、すぐレスがついて、
どうやらサン・ジェミニには鉄道の駅が無いらしいから、きっとその近くのテルニという街まで電車で行き、
そこからはバスかタクシーじゃないか、ということでした。
その人も「サン・ジェミニ」には行ったことがないらしいのに、いろいろ調べてくれて、
ローマからどれくらいかかるとか、どこ方面の電車に乗ったらいいとか、日曜日は極端に本数が少なくなるから気をつけて、とか、
役に立つ情報をいろいろくれました。その人のおかげでたどり着けたと行っても過言ではないぐらい・・・。
感謝感激です。ネットってすごい。

それにしても出発前夜、かな〜り不安になってきて・・・でもローマに知り合いはいないし、
誰か一緒に行ってくれる人はいないものかとマジメに考えました・・・。
だって、初めてのイタリアだし、イタリア語はまったくわからないし。
夏のザルツのときは、空港からすぐタクシーに乗ればそれでよかったけど、
今回はそういうわけにはいかない・・・。空港でまず電車の切符を買い、ローマの駅まで行って、そこからまた電車に乗って・・・。
考えただけでおそろしい・・・・・・・。

でも仕方ない。友達はみんなそれぞれやらなきゃいけないことがあるし、
だいたい人のために飛行機を取って一緒について行ってくれる人なんてまずいない。あたりまえ・・・・。
不安を気合に変えてから、次の日のために早く寝た。

翌日、朝5時に起きて、最後の荷物をつめて7時に家出。
9時半ぐらいの飛行機でローマに飛んだ。
アリタリア航空で行ったのだが、かなり快適な機内だった。いすとか、座り心地いいし。
そしてローマ空港までは問題なく到着。
出口を出て、矢印にしたがって空港駅へ。
会話本で覚えたてのイタリア語でローマのテルミニ駅までの切符を購入。
とっても小さな駅だったから、どの電車に乗っていいのか迷う必要はまったくなかった。
快適な、空港⇔ローマ市直通電車で、約30分でテルミニ駅に到着。
駅でインフォメーションを探して「サン・ジェミニ」っていうところに行きたいんだけどー・・・と聞くと、
さすがに、イタリアの駅のおねーちゃんたちは街の名前を知ってて、でもやはり鉄道は通っていないと言う。
テルニ駅からバスがあるはずよ、駅で聞いてみなさい。と言われ、とりあえずテルニまでの切符を購入した。
駅の表示はフランスと変わらなかったから迷うことはなかった。
ただ、同じ時間に発車する電車が2つあって、どっちか迷ったときに、ネットで聞いていた「ANCONA方面」という情報が役立った。

電車に揺られること1時間ちょい。無事テルニ駅に着いた。
窓口で聞くと、バスの切符を売ってくれて、おばちゃんが、私がちゃんとバスに乗るまで一緒にいてくれた。
英語でしゃべってもいやな顔ひとつせず、そんな世話をやいてくれて、あたたかい人種だ・・・と感動した。
バスの運ちゃんにサンジェミニに行きたいということを伝えてから席についた。
高速道路を走ったりして、テルニから15分ぐらいでサンジェミニに到着。
・・・・・・・・到着して降ろしてもらったはいいけど、、、、、、しかし何も無い。目の前は山というか畑というか・・・。
民家は並んでいるが、、、いきなり人の家にたずねて入るわけにもいかないし、、、
とりあえず直感で右か左か(降ろされたところはT字路だった)を選び、歩いてる人or何か店を探しながら歩き出した。
途中でおばちゃんが歩いてきたのでつかまえて要項を見せると、
「ああ、ピアノのね。ここをまっすぐ行ったら広くなってるところがあるから」・・・・ぐらいしかわからなかったけど、
イタリア語&ジェストで一生懸命しゃべってくれた。
ここをまっすぐ・・・・って、けっこうな上り坂。十数キロのスーツケースを引きずって上るのはけっこうきつい。
でもしかたない・・・・・。翌日弾くから、腕の筋肉が疲れすぎないように気をつけながら上った。
おばちゃんのお話どおり、大きな駐車場がそのうちあらわれた。
そこでまた人をつかまえて聞くと、バーがすぐそこにあるらしい。店や・・・・・!
バーまで一緒に行ってくれると言って、また別のおばちゃんがついてきてくれた。
バーのある広場に着いてまわりを見てみると、なんとコンクールの旗が垂れ下がってる教会を発見!!!
しかもピアノの音が聞こえるぅうう!!!はぁ〜〜〜〜〜〜やーっとたどりついたぁ〜〜!
おばちゃんにお礼を言って、コンクール事務局に向かった。

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◆コンクール前日

事務局の人にホテルに連れていってもらったが、会場近くのところが満室らしく、
車で3〜5分ぐらいかかる遠く離れたホテルに泊まることになった。
でも毎日事務の人が送り迎えしてくれるそうで、きれいでかわいらしいホテルだし、ま、いっか。。。
しかし、ホテルに到着して大問題が・・・・・。
パリで買った新しいスーツケースで来たのだが、カギが開かない・・・!!
数字を合わせるやつで、でもなんだか安っぽくてだいじょぶかな〜と思ってはいたのだが、
案の定、どの数字に合わせても開かなくなっていた。。。
ふつうのスーツケースみたいに重要なカギではなくて、ただ移動中にチャックが開いてしまわないようにガードしてあるだけのものだったから、
事務のおばちゃんと、ホテルのねーちゃんに手伝ってもらって壊してもらった。
まったくなんということでしょう・・・・出だしからこれじゃあ、先が思いやられます・・・・・・。

必要な荷物だけ持って、リハーサルのため再び会場へ。
会場=教会。覚悟してはいたが、すごい残響だ・・・・。fからすぐpになる部分など、ちょっとした間が必要だった。
リハーサル中、数人の参加者と会ったが、みんな私が弾くデュティユーのソナタに興味津々だった。
パリではけっこうみんな弾くから誰でも知ってるけど、やっぱり国が違うとそこらへんも違うらしい。
「何の曲?」と何人もに聞かれた。
そこでミラノで勉強しているという日本人のおねーさんと出会ってホッとした。
事務の人、みんなイタリア語しかしゃべれないんだもん。。。2〜3人フランス語が少しわかる人もいて助かったけど、基本はイタリア語。
何かあったときに頼れる友達がいるとありがたいものだから・・・。
おはなししてみるととってもいい人だったし、ピアノもかなり弾ける人だし、すぐお友達になれた。
5歳ぐらい年上のお姉さんだけど、性格がかわいらしいから私と変わらない年齢に見える。

他の人のリハーサルもちらっと聞いたけど、思っていたよりみんなけっこうちゃんと弾く・・・・・・・。
こんな、聞いたことも無いような街であるコンクールだし、ちょっと甘く見てたんだけど、、、
そういうわけにもいかないようだ。

この日は、リハを終えて会場裏にあるアップライトで少し練習をしてから、事務のおばちゃんに送ってもらってホテルで夕飯を食べた。
あこがれの、イタリア本場パスタ・・・むふふ♪
この日は、ペンネみたいなパスタをトマトとバジリコで味付けてあるものだったけど・・・うまい!!!!
ゆで加減はもちろんアル・デンテだし、味もとってもよかったわ〜♪
と満足していると、こっちではパスタが前菜代わりらしい・・・・・・。
1,5人分ぐらいの量があって、もうおなかいっぱいになりかけていたところに
ミックスサラダと仔牛のカツレツが運ばれてきた。しかもカツレツ、、、2枚。大きいのが。
ひょーーーーえーーーーーーーーーー。
サラダは全部食べたけど、カツはどうも味が濃くて、1枚半でお手上げだった・・・。
それでもかなりよく食べたと思う。
イタリアの濃いエスプレッソを、砂糖を入れて飲んで、9時半ごろにはもうベッドの上でごろごろしていた。
さっきのリハーサルで録音したMDを聞いて研究してから寝た。不思議なことに、そんなにすごい疲れはなかった。

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◆第1次予選

ホテルで朝ご飯・・・と言っても、豪華な夕飯とは対照的に、コーヒーと、あまりおいしくないクロワッサンとチョコレートパンのみ。
イタリアのパンは、なぜか「水」の味がする。バターが少ないのかな??

約束の10時にホテルの外に出て車を待った。
すると同じようにぶらぶらしてる「素敵なおじさま」タイプのおじさんがいて、「あなたも迎えを待ってるの?」と聞いてきた。
はぁ、これは・・・と思い、「あなたは審査員の方ですか?」と英語で聞くと

「Yes. And you?」

・・・・・・・・・・・え?アンドユー?????意外な展開に一瞬とまどった。
私はいったい何者だと思われたんだろう・・・・・。(笑)
「私は弾くんです。参加者です。」と言ったら納得した様子だったけど。

さすがイタリア人。15分遅れてお迎えがやっと来てくれた。
本番は午後2時半からだから、それまでお練習。
事務のおばちゃんが、私ともう一人の日本人のおねーさんをある民家(超金持ちそうな大きな家)に連れて行ってくれて、
その家にあるグランドピアノで練習させていただいた。
40分ずつぐらいしかできなかったけど。
あとから来た同じ参加者の男の子が「僕が一番に弾くんだよ」と教えてくれた。
いつのまにかくじ引きをやっていたらしい。演奏順はアルファベット順。
彼は「I」だから、まぁ、私は真ん中よりちょっとあとぐらい。・・・・だと思う。

昼を、会場裏にあるピッツェリアで食べ、会場裏のアップライトで少し指ならし。
2時半に参加者が会場にあつまり、点呼が始まった。
ここでやっとプログラムがもらえた。それと、参加賞になぜかグラサン・・・・・。
参加者は全部で16人。(少)
棄権が2人いた。
イタリア人がやっぱり一番多いけど、アメリカ・カナダ・日本・クロアチア・ポーランド・ロシア・・・と、なかなか国際色豊かだった。
ペルティカローリの弟子も2人いるし、イモラ生もいるし、けっこうなコンクールなんじゃないかぁ。。。と思った。。。
年齢は、21歳から29歳までいた。割合的には私と同じぐらいの年の子が多かったかな。

1次はエチュード1つ+15分以内の自由プログラム。
私はドビュッシーの花火、デュティユーのソナタ1楽章、リストのエチュード10番を弾いた。
本番前に指ならしをして、時間を見計らって会場に向かったら、
イタリア人の子が「もうみんな待ってるよ」と・・・・。
あわてて会場に入って、そのまま舞台へ。
といっても、このコンクール、試験みたいで、みんな客席からてきとーに出て行って、
おじぎも拍手もなし。
審査員はいっちばん前に座ってる(笑)
まぁ、うしろの方じゃ響きしか聞こえないからそうしたんだろうけど。
なんか、そんなことで妙に心臓が速まってて、テンポも速かったんじゃないかと思う・・・。
だいたいデュティユーの暗譜が心配で・・・ソナタ形式だけど、ロンド形式のような怖さがあるし、音も複雑だから覚えにくい。
まぁ、暗譜は無事間違えずにクリアーできた。
花火もまあまあだったと思うし、問題はリスト・・・けっこう目立つミスを1箇所やった。
自分的にはあんまり満足できる演奏ではなかった。
第一弾いてて楽しくなかった。暗譜が気になってたせいかもしれないけど。
他の人は、やっぱりみんなよく弾いて、ミスもほとんどないし、落ち着いてるし。。。
1次を通過できたらラッキーだという気持ちだった。
まわりの友達(参加者)はみんなほめてくれて、テンポも速すぎなかったと言ってくれたけど。

私の次だった日本人の・・・あぁ〜もうめんどくさいから「えみちゃん」です。(笑) えみちゃんと、
小打ち上げということで一口軽いアルコールをバーで飲んで、
念のために2次の練習をした。もし通ったらもう翌日が本番だから・・・・。

ひととおりさらい終わった頃、ちょうど発表が出るくらいの時間になった。
張り出された紙を見ると・・・・おぉ。私の名前が。
あれ、でも待てよ、みんなの名前が書いてある・・・・・。
良く見ると、それぞれの名前の横に2つ四角が並んでいて、上の方に[si][no]と書いてあった。
通ってる人は[si]にチェックが、ダメだった人には[no]にチェックがついてるんだった・・・。なんとわかりにくい・・・・・。
再び緊張して自分の名前の横を見たら、ちゃんと[si]にチェックが付いてた。よかったぁ〜〜〜〜〜。
えみちゃんも通ってた。
結局、1次は棄権が2人いて、「1次免除」(最近、他の国際コンクールで優勝・入賞した人たち)で弾かなくていい人が4人もいたから、
弾いたのが10人、そのうちの6人が2次に進んだことになる。半分以上じゃん(笑)ここでダメだったらかなり悲しかった。
通ってよかった・・・。
明日の2次は、免除だった4人を加えた10人が演奏する。

誰もいなくなった会場でちょこっと弾いてからホテルに連れて帰ってもらい、また豪華な夕飯。
今日はスパゲッティーペペロンチーノ。たぶん麺の量は2人前ぐらいあった。
それからサラダと、今日は仔牛のグリルにしたけど、、、これがもんのすごかった!!!!!!!
写真に撮りたかった・・・・。
私の顔と同じか、それ以上の面積があって、しかも厚さが3〜5cmある・・・・・。
すんごかった。
でも、今日はそうとうおなかがすいてたらしく、ほとんど全部たいらげて、
そのうえデザートに(これは小さめだけど)チョコレートケーキをいただき、コーヒーを飲んで終わった。
自分でもびっくりするぐらいすごくよく食べた・・・・。
明日に備えて、ワインは我慢した。

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◆第2次予選

昨日あれだけ食べたのに起きたらおなかがすいてた・・・・。どうなってんだ、私の胃袋・・・・・。
またおいしくない朝ご飯を食べてでかける。
昨日、お迎えの約束をし忘れてたから、ホテルの人に、コンクール事務局に電話して迎えを頼んでもらおうとしたら、
ホテルのおばちゃんが会場まで送ってくれちゃった。ほんとに陽気で、いい人ばかりだ・・・。

練習しようと思ったら、やっぱりみんな必死になっていて思うように練習時間がとれない。
練習可能なピアノはアップライト3つと、おうちのグランドピアノ1つの計4つ。
それでもみんなで適当に口約束で「あなたの次、私がさらうわね」「うんじゃあ、誰か来たらそう言っておくよ」という感じで
うまく割り振れた。
20歳を過ぎればさすがにみんな大人だ。自分が、自分が、といってガーガー練習するような人はひとりもいなかった。
みんないい人たちだった。

今日は3時に集まって点呼。
2次では35分以内で、古典ソナタ1つと自由曲1曲を弾く。
今日は昨日のような失敗をしないように、早めに会場に入った。
前の人が弾き終わるのを客席で聴いてから舞台に向かった。
ベートーヴェンのソナタ18番Op.31-3とブラームスのパガニーニ・ヴァリエーションという、おはこプログラムだったが、
おはこだけあって十分に練習してなかった。ここ何日かは1次の曲で手いっぱいで、ほとんど弾いてなかった。
でもやっぱり弾いてある曲は違う。
ベートーヴェンはとても気持ちよく、楽しく弾けた。
ブラームスは、ちょっとヴァリエーションとヴァリエーションのあいだの間(ま)が詰まっちゃってた・・・次々弾いていっちゃった感じだったが、
まあまあ大きなミスも無く弾ききった。
かなりの音量が出てたみたいで、聴いてた友達に「ほんとに女の子?」と聞かれた(笑)

2次もやっぱりみんながみんなよく弾くからわからないけど、なかなか手ごたえがあったからすぐファイナルの練習を始めた。
はずかしいから、何の曲をやってるかわかんないような練習方法でやってた。
以前、須田先生に言われたことを思い出した。
はずかしいのはわかるけど、すぐ次の練習をしなくちゃだめなのよ。結果はどうであれ、とにかくやっておいて損はないんだから。

しかしそれにしてもファイナルのプログラムは初めての曲だらけ。。。
時間の関係その他もろもろのことから、弾いたことのある曲では、どうもいいプログラムが組めなかったのだ。
練習してるうちに、ほんとにこの状態で人前で弾くのか、、、と、不安になってきた。
必死にさらってみるけど、弾けないところは弾けない。
まして本番で緊張した状態で弾くなんて考えられない・・・・。もし通ってたらファイナルは棄権しようか、という気持ちにすらなった。
とにかく準備が足りてない。
ここまできておいて恥さらしするのはいやだし、何よりもそんな演奏をしたらファイナルに残れなかった人に申し訳ない。
とにかく丁寧にひととおりさらってから結果を見に行った。
全員が弾き終わったときにはもう10時を過ぎていた。
それから会議をして、結果発表は11時ごろだった。
また紙が張り出されて、、、今度は通った人だけ名前が書いてあった。
私の名前もあった。
残ったのは、1次免除だった4人と日本人2人の計6人。
カナダ人の、ペルティカローリ門下の24歳のとっても「かわいいきれい」な女の子、
わたし(22)、えみちゃん(27)、
イモラで勉強してるイタリア人男(27)、
ポーランドの男の子(23)、
クロアチア出身でウィーンで勉強中の女の子(22)
という6人。
もともと女の子ははじめから4人しかいなくて、それが全員ファイナルに残ったことになる。

結果を知って本当に焦りだし、それからまた15分ぐらいさらわせてもらってからホテルに帰った。もう夜中の12時近く。
昼食べたきり何も食べてなかったからおなかがすいてて、
無理を承知でホテルの人に覚えたてのイタリア語で「オ・ファーメ。」おなかがすいてます。って言ったら、
もう食堂も片付けたあとなのに、グリーンサラダとシーフード盛り合わせを出してくれた。
魚のお刺身みたいなのと、貝とイカとかのサラダという感じ。
お刺身は、醤油の代わりにドレッシングがかかってるという具合で、とってもとってもおいしかった。
問題は貝とイカ。私のことをよくご存知の方なら「どーしたの、それ。残したんでしょ。」と思われるでしょう。
しかし、なんと全部食べたのですよ。すごい。えらい!
というのも、ドレッシングの味が強かったから、素材そのものの味はほとんどしなかったのです。
思いがけずリッチな食事ができて、満足して部屋に戻りました♪
真夜中に、かなりおなかいっぱいになったけど。

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◆ファイナル

今日は朝ご飯の後、自分で事務局に電話して迎えを頼んだ。イタリア語で。
と言っても、ちょうど事務局にえみちゃんがいたから結局通訳してもらえたんだけど。

ほんとに練習しなきゃと思って、朝7時ぐらいに起きるつもりだったのに、起きたら9時だった・・・。
気合が欠けてるのかしら。。。

迎えに来てもらって、直接グランドピアノのあるお金持ちのおうちへ連れていってもらい、
そこで1時間ほど弾いた。
あとはまたアップライトの練習場へ戻って少しさらい、会場でもひととおり弾けて、なかなか満足に弾けるようになってきた。

ファイナルは45分のプログラム。
ショパンのソナタ2番(葬送)、アルベニス・イベリアの中の1曲、リストのダンテを読んで・・・・という
かなり頑張ったプログラム。体力も精神力も集中力も必要・・・・。
しかも、ショパンとリストは人前で弾くの初めて。
レッスンもふつうにしか受けてないし、本番用には自分でCDなど聴いて研究したという頼りない状態・・・。
もうこれは気力で行くしかありません。

出番は2人目。
始まりは4時ごろと言っていたのに、30分過ぎても審査員が現れない。
5時近くなってやっとどやどやとやってきた。
2人目でよかった・・・。1番だったらかなり精神状態がやられてただろうから。。。

みんな黒いワンピースとかでシックに登場していたが、私はせっかく持ってきたからファイナルでは黄色いドレスを着た。
かっこばっかりよくって演奏がボロボロだと困るけど、まぁ、演奏は気力でなんとかすることに決めた。

また早めに会場に入って前のカナダの子の演奏を聴いた。
バーバーのソナタをバリバリ弾いてる。ほんとによく弾くわ、みなさん。

それにしてもファイナルでも拍手はなし・・・。ま、いっか。。。

今日はほとんどまったく緊張せずに舞台に上がった。
ショパンの1楽章は弾くのが気持ちよくて大好きだから、
かなりいい気分で弾ききった。
2楽章の連打も、やっぱり本番となると腕が勝手によく動いて・・・
とてもきれいにいった。
葬送も、なかなかまあまあ。
4楽章は速すぎると思いながら弾いてたけど、
まあこれは速くてもいいかと開き直ってた。

アルベニスは・・・せこせこしてたかな。あんまりたっぷり弾けた感じじゃなかった。

ここまで弾いて、次リスト。はじめて。
なんだかほんとに弾くのかよ〜〜〜〜〜とまだ思ってて笑えてきてしまった。
舞台の上でにやけてた。なんか、自分が人前でダンテを弾くことが冗談のように思えて・・・。へんなの。
でもいつまでも笑ってられないから弾き始めた。
最初のタターンの連続でいくつか連打を失敗したけど。でもそれはピアノが悪いと思う。とっても弾きにくかった。
あとは、最後の魔の8分の6でちらっとやった以外はほとんどミスも無く、
思っていたよりかなり上出来で嬉しかった。
音楽的には自分なりにこうしたいっていうのがあるから、弾いてて楽しかったし。
すごく響くところだから音も気持ちよく鳴るし・・・。

終わってみるとけっこう満足できる演奏だった。
好きな曲ばかりだったし。
聴いてた人にもブラーヴァの声をかけてもらえたし♪

まあ、初めての曲で、準備も万端ではないから細かいところはまだまだやらなきゃいけないことだらけだと思うけど、
とりあえず恥にはならなかった。申し訳ない演奏ではなかったと思う。

着替えたり、他の人のを聴いたりしたあと、みんなでおしゃべりしながら結果を待った。


↑ファイナリスト6人 左からロレンツォ(イタリア)・Michal(ポーランド)・マルティナ(クロアチア)・わたし・えみちゃん・グローリア(カナダ)


30分弱ぐらいで審査員が出てきて、事務の人が紙を持ってやってきた。
もう6人ともみんな大して興味は持ってなく、誰が何位でもかまわないよ状態だった。
そして張り紙を見ると、1位から6位まで順位がついていて、3位に私の名前があった。
1位はイモラのおにーちゃん。2位が、私と同い年のクロアチアの子。彼女はザルツの講習会でも一緒だったが、ほんとに上手。
年上だと思ってたのに同い年だった・・・。

審査員に話を聞くと、今日の演奏はどれも全部速すぎたようだ。自分では全然意識無かったし、そんなに緊張もしてなかったのに。。。

どんな速さだったんだろう・・・興味津々で録音してたMDを聴いてみた。そうすると・・・・・・
なんじゃこりゃーーーーーーー!!!
超特急です。どれもこれも。
速くても問題ない曲はいいけど、大問題は出だしのショパン1楽章。すごい、、、アルゲリッチより速い。。。。
しかも会場は教会だから響いてなんにもわかりゃしない。
あ〜あ、これじゃあせっかく音色変えたって何したってわからないよ。第一こんなスピードじゃこの楽章の音楽的な良さは何も出ない・・・。
確かに1楽章を弾き終わったとき、あっという間だった感じはしたんだ。
一息で1楽章全部弾いちゃったって感じ(笑)

ダンテもかなり速い。もっとゆったりしたテンポで弾いていいのに、、、、何がここまで速くさせたのか・・・・・。

はーもう、音楽どころじゃないです。「ちょっと、落ち着いて、落ち着いて!」と言いたくなるような演奏、、、あるでしょう?
それだったのです。
やっぱり準備不足はこういうところに出てくるのね。
いくらテクニックが間に合っても、こういう部分の配慮にかける時間がなかった。

あとから審査員のひとりが「キミは2次まではトップだったんだよ」と教えてくれた。。。
は〜〜〜〜〜もったいなかぁーーーーーーー。
もっとテンポすらゆっくり弾いていれば、音楽的にはそんなに問題なかっただろうし、もっと上の成績を狙えたんだろうに。。。
ファイナルの特急列車プレイングで一気に3位まで落ちてしまったのね。。
でも3位で止まってくれてよかった。。。賞金もほんのちびっとだけどもらえたし。

その夜は1位のにーちゃんのおごりで、みんなでバーに行ってビールを飲んだ。
参加者も、事務の人もみんないい人ばかりで、来てよかったと思えるコンクールでした。

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◆思ったこと

他の人の演奏を聴いてて、私の演奏には丁寧さが欠けてると思った。
弾きまくってしまう感じが自分でする。もっと丹念に本番で弾けるように心がけないと・・・。

音楽的には、今の私はすごいことになってると思う。「ああしたい、こうしたい」という音楽に対する欲求がやっと最近出てきたように感じる。
10代の頃は、先生に教えられてなんぼっていう感じがどうしても自分の中のどこかにあった気が今になってする。
それが、最近はほんとに自発的に欲求が出るようになった。人間てちゃんと成長する生き物なんだな・・・(笑)

今回、違うプログラムで毎日本番という厳しいスケジュールだったけど、確かに大変だったけど、
かえってピアノに集中できて私は嬉しかった。
だいたいホテル暮らしというのはすばらしい!
ご飯はおいしいものを出してくれて、後片付けもせず自分は部屋に帰って自分のことをしていられる。
毎日お掃除してくれるし、シーツも変えてくれる。
私は本当にピアノだけに集中していればよいという環境。。。
・・・・まぁ、世の中そんなに甘くないから、帰ってきた今日からいろいろ雑用は山積みだし、
それをこなしてこそ人間的に成長できるわけだし・・・。
いい気分でコンクールを受けさせてもらえたことに感謝しつつ、また次に向けて頑張ろうと思う。