パブロ・カザルス・フェスティバル (2002.08.01〜13)
みなさま、こんにちは。
そういえば講習会が行われたプラドという町は、毎晩星がすーーーーーーーーっごくきれいだったことを思い出しました。
この背景と同じぐらい、ものすごい数の星が見えたのです。
えぇ〜それでは早速 @間の重要さ について。
これは講習会が始まってすぐの頃考えたことです。
友達といろんな話をしている中で、「よく弾けるのに、何かが足りない人っているよねぇ」という話題になり、
何が足りないのかを後々考えていると「間の取り方」という答えが浮かんできました。
普通にテンポどおりに弾くことは、言ってみれば誰でもできることなのです。
でも、そのテンポの中でもちょっとした間の取り方で、広がりや、あるいは焦っている様子などを表現することができるのです。
何言ってるんだコイツは、とお思いかもしれませんが、私はこれからちょっとそこにこだわってさらっていこうと思いました。
次。A室内楽。 言うまでもなく今回の目玉です。
私はブラームスのピアノトリオ第1番 ロ長調 作品8 と ドヴォルザークのピアノクインテット イ長調 作品81 を勉強してきました。
ドヴォルザークの方は現地で決まったメンバーだったのに対して、
ブラームスの方はこの3人で弾くために3人で同じ講習会に申し込んだという気合の入れようでした(笑)
最初の頃は暇さえあれば3人で合わせをしていた感じで・・・。
室内楽っていうのは人間関係と同じぐらい相性に左右されるものだと思うのですが、
今回の3人は、初めて合わせたにも関わらず、音楽的な違和感はまったくと言っていいほど無く、
とてもスムーズに、それぞれの意見も取り入れながら、3人で1つの曲をうまく作り上げて行くことができたと思います。
室内楽のレッスンに割り当てられた先生はTalich
Quartet(ターリッヒ弦楽四重奏団)というチェコの弦カルの中のチェリスト、
ドヴォルザークの方はファーストヴァイオリンの人でした。
ピアノの先生に室内楽のレッスンを受けられないことに最初はちょっと不満だったのですが、
レッスンを2回、3回と受けていくうちにどんどん楽しくなっていきました。
弦の先生だから、弦楽器に言いたいことがいっぱいあるのは当たり前なので、
その中からでも何か汲み取れることがないものかと一生懸命話を聞いていたら、
弦楽器の先生にもなれるんじゃないかっていうぐらい弦楽器の秘密を色々知ってしまいました(笑)
ヴィブラートのかけ方&種類、弓の向き&位置、持ち方によって様々な音色を出せるのです。
こういう音色が欲しいときはこういう弾き方、というのがだんだんわかってきてとても勉強になりました。
先生はピアノにもちゃんとアドヴァイスをくれました。
それもまた良い刺激になって。
とにかく合わせもレッスンも楽しくて楽しくて仕方なかったです。
そして講習の最後4日間ぐらいは、1日2回ずつ生徒による室内楽コンサートが行われたのですが、
私は、一日で午前中にブラームス、午後ドヴォルザーク という、まるでスターのような(謎)日程が組まれていました。
今までレッスンで先生に聞いてもらうしかなかった演奏を、やっとたくさんの人に聞いてもらえる、という喜びがあったはずなのに、
本番はやっぱり緊張するもので・・・。
ソロで一人ぼっちで弾くときとはまた違う緊張感。
なんてったって3人、5人で一つの曲を演奏するわけだから、
運動会のリレーのように連帯責任があるわけです。
ソロなら、自業自得で済むところ、室内楽の場合、もし自分がとちったら他のみんなの評価まで下げてしまう可能性があるわけです。
そんな余計な事を考えるとドキドキドキドキしてきてしまって。。。
でもいざ舞台に出るときは、みんなで演奏できる喜びを十分に感じて楽しもう、という気持ちに切り替えました。
それでもやっぱり少しの緊張はおさまらずにずっと私の中にいるんだけど。。
午前中のブラームストリオは出番が最後で、1楽章と終楽章だけを弾いたのですが、
ピアノはなんとアップライト・・・。
それでもまぁ、強弱は割とうまくつけられるピアノだったのでそれを利用して頑張りました。
終楽章をかっこよく弾き終えた後、お客さんの拍手とブラボーの声がおさまらなかったため、
アンコールとして第2楽章も弾かせてもらっちゃいました。
せっかくやったんだから全楽章弾きたいよねぇ〜と話していた私たちにとってはとても嬉しいことだったのですが、
他の生徒からはひんしゅくだっただろうなぁ・・・(笑)
みんなアンコールしたくたって後がひかえているからできないで我慢してたんだろうに。。。
みなさんゴメンナサイ、でもありがとうございました。出番が最後の人たちの特権ということで・・・てへ。
そして午後はドヴォルザークの本番。
こちらの会場は生徒のコンサート会場で唯一グランドピアノのある教会でした!
あ〜ブラームスもこっちで弾きたかったねーーーーと話していると、コンサートの係をしているおばちゃんが私たちのところへやってきて、
「あなたたち、ブラームスをもう一度弾く気はない?」
と聞いてくるではあ〜りませんか。
「えっ!アリアリです!!」
と答えると、一組出演をキャンセルした組があるということで、
そのグループの代わりに、午前中大好評だったブラームスを再び弾いてもらおうという話になっていたらしい。
それが決まって、3人で大喜びして、
でもその前にドヴォルザークを弾かなくちゃいけないから集中しなくてはぁぁぁ〜などと、かなりテンションの高い人になってました。
ドヴォルザークは第1楽章だけだったんだけど、
せっかくのグランドピアノはいいが、今度の問題は「位置」。
ピアノクィンテットの場合、普通はピアノの前に弦の4人が並ぶ形になるんだけど、
私たちの前に演奏したピアノを使わないグループのためにピアノをはじに動かしてしまったらしく、
しかもまた動かすのは大変、というすばらしい理由により、
客席から見て、舞台の左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、ピアノ と横一列に並んで弾くことになってしまいました・・・。
180度後ろを向かないと第1ヴァイオリンの合図が見えない、というすごい条件で・・・
もう割り切るしかなかったです。フィーリングで頑張ろう、という感じでした(笑)
演奏は、久し振りのグランドピアノに戸惑った私が目立つミスを色々してしまいましたが、
全体的にはそう悪くはなかったんじゃないかな、と今になって思います。
演奏直後は自分のミスのことで頭がいっぱいだったもので・・・。
気持ちを切り替えて、汚名挽回のためにもブラームスをしっかり弾かなくては、とブラームスモードに頭を変えました。。。
今度は時間の関係上第1楽章のみ。
その日2回目の演奏ということもあって、1回目よりは落ち着いて弾けたかな。
でも、ここでBのアップライト につなげてしまいますが、
アップライト、おそるべしです。
この講習会、練習室はすべてアップライト、レッスンもピアノの先生以外の先生の部屋はアップライト。
というわけで自分のソロのレッスン時以外はずっとアップライトを弾いていたわけです。
アップライトは、ピアノにもよるけど、ソフトペダルを踏むと鍵盤がもこもこになってしまうことが多く、
気付いたらソフトペダルを使わないクセが付いてしまっていました。
それに、どこがどのように違うのかを具体的に説明するのはむずかしいけれど、
アップライトで弾くのとグランドで弾くのとは明らかに何かが違うのです。
アップライトにはレベルの高いこと(音色の違いなど)を求めてもムダなので、
無駄な中でもどうにか変化をつけようと、アップライト用の変化のつけ方を知らず知らずのうちに探してしまっていました。
それに慣れてしまって、いざグランドで本番、というときに、
このすばらしくレベルの高い楽器サマに対して私はどのように接したらよいのかしらと真面目に戸惑ってしまいました。
グランドの弾き方を忘れかけていた、と言うか。。
やっぱりピアニストはいいピアノで練習するべきなんだな、と痛感しました。
しかし、今回も新しい友達がいっぱいできて、
外国人の子に日本語をいっぱい植え付けて、
ほんと〜に楽しい日々でした。
先生方も楽しい人たちばかりだったし。
特に室内楽のレッスンをしていただいたターリッヒカルテットの面々とは、
講習終了後、パリ郊外であった彼らのコンサートを聴きに行ったこともあってかなり仲良くなってしまいました。
コンサートの後一緒に食事に連れて行ってもらったり、飲みに連れて行ってもらったり。
11月には日本でピアニスト・ルイサダと共にコンサートをするそうなのでお時間がある方はぜひお出かけください。
あとチェロのミュレール先生に名前を覚えてもらえたことも嬉しかったなぁ〜♪
友人の伴奏としてブラームスのチェロソナタを弾きにレッスンにくっついていったら気に入ってくれたみたいで、
他の生徒にも私を紹介してくれて・・・。
チェロソナタ、ピアノトリオ、あと演奏会で聴いたゼクステットにハマり、
まるでブラームス講習会でした(笑)
いつかオールブラームスプログラムで室内楽コンサートができたらいいなぁ。。。
というわけで充実しまくりな2週間でした。
これからはソロに力を入れないとっ。がんばりましょー。